大峯奥駈道 入門編

今年の異常な暑さも終わりを告げ、いよいよ秋の行楽シーズン到来。山仲間が集まって次の山行計画を話し合っている。

初心者 「山もだいぶ慣れてきたんで~、今度、大峰山に挑戦しようと思うんすけど、どんな感じっすか~?」
ベテラン 「大峰山か、あそこはきついぞ! 自分の場合だと秋頃に縦走して、4泊5日の行程かな。」
初心者 「よっ、よんぱく! 日帰りで行けるコースないんすか?」
ベテラン 「ないわけじゃない。例えば大峰山の中心である山上ヶ岳だけを登る事も出来る。でもなあ、大峰山は役小角(えんのおづぬ)が切り開いた修験道なんだぞ。修行の場であって、観光地じゃないんだ。吉野から熊野本宮まで距離100km、累積標高8,000mにも達する厳しい道のり(大峯奥駈道 )をひたすら歩き通す事によって悟りを開くんだ。」
初心者 「ひゃ、ひゃっきろ! それは無理っす。」
ベテラン 「ついでに言うと、聖地である山上ヶ岳は、今でも女人禁制で、女性は山に入る事すら許されない。」
初心者 「にょ、にょにんきんせい? という事は、山ガールいない?」
ベテラン 「いない。オッサンばっかり。」
初心者 「きついっすね~」
ベテラン 「だろ。だからきついと言ったんだ。」
初心者 「ところで、縦走する場合は、どこに泊まるんすか?」
ベテラン 「小屋も一部あるけど、自分は全てテン泊するね。途中に補給ポイントが殆どなく、水や食料品もかついで行くからリュックの重みは20kgにも達する。」
初心者 「にっ・・・・・」
ベテラン 「どうだ。悟りを開きに行ってみるか?」
初心者 「そうっすね~ 悟りは次の機会にしてもらって、とりあえず入門コースで・・・」

という事で、今日は大峯奥駈道 (おおみねおくがけみち)の入門コースである吉野駅~洞川(どろがわ)温泉までを歩いてきました。

近鉄吉野駅からスタート。が、ここまで予想外に時間がかかりました。事前の調査不足で吉野線が単線のローカル路線である事を知らなかったのです。

橿原神宮駅で乗り換えて急行に乗ったのですが、何と橿原神宮駅から吉野駅まで各駅停車となります(15駅停車)。単線なのですれ違いの時間待ちもあります。有料特急に乗るべきだったのですが、それでも9駅停車します。どんだけ~

それと今日の天気ですが、曇り予想だったのに雨が降ったり止んだりの不安定な天気だったのも誤算でした。

吉野駅からロープウェイ横の坂を登って行きます。既にこの辺りから小雨が降ってるので傘を差します。
役小角(えんのおづぬ)が開いた修験道の本山である金峯山寺(きんぷせんじ)に到着。

本堂である蔵王堂(ざおうどう)。
ここが大峯奥駈道のスタート地点。大峯千日回峰行もここから出発します。

意気揚々とスタートしたいところですが、雨が強くなってきてブルーな気分に。今日は無理かな?
吉野水分神社(よしのみくまりじんじゃ)に到着。
雨脚が強まってきたので、ここで休憩。

雨が止む気配が無いので、とりあえず金峯神社まで行ってそこで進むか退くか決める事に。

金峯神社の修行門鳥居に到着。
この時点で本降りの雨になってきた。神社の休憩所でしばらく雨宿りをして止まないようなら今日はここで中止とし、引き返す事にしました。

20分程度待ちましたが雨が止みません。
引き返すしかないと思うのだけど優柔不断なので決心がつかない。もう少し待ってみる事に。

さらに10分ぐらい待ってると、雨が徐々に弱くなってきて空もさきほどと違って少し明るくなってきたような気がします。様子見でもう少しだけ進んでみる事にしました。
進んでいると何と奇跡的に雲が切れてきて晴れ間が見えてきたではありませんか。これはもう役小角が自分に「進め~ 進むのだ~」と言ってるんだと解釈し、トレイルに突入する事にしました。

まずは四寸岩山(しすんいわやま)を目指します。
その前に青根ヶ峰を通過するはずが、気付くと巻き道を進んでいてパスしたみたい。これは振り返って撮影しましたが、本当は右側から下りてくるはずが左側から歩いてきました。

少しロードを走ると四寸岩山へ向かうトレイルに出会うので、ここから登っていきます。

こんな感じのトレイルを登って行きます。
四寸岩山は標高1,235mで激坂もあり、山頂まで距離があります。

山頂近くまで登ってきました。晴れてきてよかった~

頂上からの眺望はありません。

次に目指すのは大天井ヶ岳(おおてんじょうがだけ)。
しばらくは尾根道が続きますが、途中に足摺小屋があります。

ここから下って行くと大峯奥駈道 と並行しているロードに出会います。
後で調べると、わざわざ四寸岩山に登らなくてもこのロード(林道吉野大峯線)を走って来ればここで山道と合流するのですね。
下の写真は振り返って撮影。道路の右手奥から出てきます。

しばらく進むと百丁茶屋跡の二蔵宿小屋(にぞうしゅくごや)に到着。

ここから大天井ヶ岳に登っていくのですが、またやってしまいました。一度はやらないと気が済まないようです。

ここは三叉路になっています。
真っ直ぐは大天井ヶ岳を巻いて山上ヶ岳へ向かうルート(在来道)。
右への登りは大天井ヶ岳に向かうルート(古道)。
左への下りは水汲み場へ。
当然、大峯奥駈道 は右折するのですが、標識に山上ヶ岳の文字があったので、誤って真っ直ぐに進んでしまったのです。

しばらく歩いていって、登っていかないといけないのに山を巻いている事に気付きました。GPSを見るとルートから大きくずれている。あわてて戻りました。恐らくここで間違えるのは自分くらいでしょうね。

大天井ヶ岳に向かって登って行きます。
ここは標高1,438mなだけあってとにかく登らせます。もういい加減にしてよっていうくらい登らせます。最後はバテました。
頂上手前からの景色。

頂上手前付近は林業用モノレールに沿って登りますが、激坂が続く。

やっと頂上に到着。
ここまで13.9km、3時間36分。
登りが多いせいか、あまり距離はないです。しばし休憩。

ここから下り。こんな尾根を歩いて行きます。

途中、間違いやすいポイント。
踏み跡は右側にあってうっかり進んでしまいそうになりますが、左側方向が正しいルート。

五番関に下りてきました。これは振り返って撮影。
左側から下りて来たのですが、先ほど誤って進んだ在来道ルートを進むと右側から出てきます。

ここに女人結界門があります。ここから先は女人禁制。
ここまで14.7km、3時間55分。
山上ヶ岳まで行ければと思ってましたが、余裕がなさそうなので、今日は予定通りここから洞川温泉に下山する事にしました。
I shall return

少し下ると五番関トンネル横の登山口に出ます。
ここからはひたすらロードを走って行きます。また天気が悪くなってきて、雨が降り始めました。

役小角が母のために作った庵である母公堂(ははこどう)前を通過。

五番関登山口からロードを6km走ってきてゴールの洞川温泉センターに到着。意外に距離がありました。雨が本降りになってきてグショグショ。
温泉に入浴後、近鉄下市口駅までバスに乗り、3時間かけて帰ったのでした。

本日の走行距離21km、タイム4時間43分。

おわり

本日の活動軌跡